| 日時 | 令和8年10月13日(火)15:00~16:40 |
| 場所 | つくば国際会議場201会議室 |
| 参加者数 | 62名(35機関)※懇親会39名 |
はじめに
冒頭のあいさつにおいて、筑波大学長であり筑協会長の永田恭介会長から、内閣府、文部科学省、農林水産省、国土交通省をはじめとする関係府省から出席いただいていることへの謝意が述べられました。
その上で、筑波研究学園都市は我が国の科学技術を支える中核的な研究拠点として発展してきた一方、今後は科学技術の成果や恩恵が社会や地域住民にも実感されるまちづくりを進めていくことが重要であるとの考えが示されました。また、第7期科学技術・イノベーション基本計画において、筑波研究学園都市が高度なイノベーション創出拠点として位置付けられつつあることに触れ、研究機関の集積地という従来の役割に加え、イノベーションやスタートアップ創出を牽引する都市としての役割が期待されていることが紹介されました。
さらに、研究学園都市の形成期に整備された施設やインフラが一斉に更新時期を迎えていることを踏まえ、研究施設や研究基盤の維持・強化については個別機関のみで対応するのではなく、省庁横断で取り組むべき課題であるとの認識が示されました。また、研究学園都市に求められる機能も従来から変化しており、施設の更新にとどまらず、イノベーション創出やスタートアップ支援を含めた研究学園都市全体の将来像を見据えながら議論を進めていくことの重要性が述べられました。
続いて、つくば市の五十嵐立青市長からあいさつがあり、「世界のあしたが見えるまち」をビジョンとして掲げるつくば市として、研究学園都市で創出された研究成果や最先端技術を社会実装につなげ、市民生活の向上や地域課題の解決に結び付けていくことが重要であるとの考えが示されました。また、スーパーシティ型国家戦略特区などの取組を通じて、研究成果の実証や社会実装を支えるフィールドとしての機能強化を進めていることが紹介されました。


議題1 政府の政策動向について
はじめに内閣府科学技術・イノベーション推進事務局の工藤審議官からあいさつがありました。国際情勢や技術革新のスピードが大きく変化する中で、科学技術・イノベーション政策の重要性が一層高まっているとの認識が示されました。また、筑波研究学園都市は研究機関や大学が集積する我が国を代表する研究開発拠点であり、今後の科学技術・イノベーション政策を進める上でも重要な地域であることから、本日の議論を通じて研究現場の課題や将来に向けた方向性について幅広く意見交換を行いたいとの期待が述べられました。
続いて、内閣府科学技術・イノベーション推進事務局の錦参事官から、政府の政策動向について説明が行われました。第7期科学技術・イノベーション基本計画や統合イノベーション戦略、骨太の方針等における科学技術・イノベーション政策の位置付けについて紹介がありました。人口減少や国際競争の激化、急速な技術革新が進む中で、研究力強化、人材育成、スタートアップ創出、研究成果の社会実装を一体的に推進する必要性が示されるとともに、筑波研究学園都市については、研究機関や大学の集積を生かした世界トップレベルのイノベーション創出拠点として、その機能強化が期待されていることが説明されました。また、研究機関間の連携強化や研究基盤の高度化、研究交流機能の充実などが重要な課題であることが示されるとともに、研究学園都市の機能強化に向けた政府における検討状況について共有が行われました。
文部科学省科学技術・学術政策局担当の武田審議官からあいさつがありました。筑波研究学園都市が今後も我が国の研究力を支える重要な拠点として発展していくためには、研究施設や研究基盤の整備のみならず、研究機関相互の連携や新たな価値創出につながる取組を推進することが重要であるとの認識が示されました。また、研究現場の声を踏まえながら、研究環境の充実や機能強化について関係機関と議論を進めていく必要があるとの考えが述べられました。
続いて、文部科学省科学技術・学術政策局の馬場参事官から説明がありました。令和7年度補正予算において措置された先端研究基盤刷新事業(EPOCH)の紹介があり、第7期基本計画を踏まえ、若手を含めた全国の研究者が挑戦できる魅力的な研究環境を実現するため、全国の研究大学等において、地域性や組織の強み特色等も踏まえ、研究開発マネジメント人材や技術職員を含めたコアファシリティを戦略的に整備していくことが説明されました。本事業では19件の提案が採択され、筑波大学については、高エネルギー加速器研究機構など、筑波研究学園都市に立地する研究機関との連携も視野に入れた取組として採択され、専門人材の育成・活用、研究設備の戦略的な共用化、研究者の研究時間の確保などを一体的に進めるとともに、筑波研究学園都市全体として研究資源を有機的に連携させる仕組みの構築を目指していることが説明されました。さらに、広域的なコアファシリティの運営委員会を設置し、設備マスタープランに基づき、広域での戦略的な機器配備も視野に入れながら、研究学園都市全体として研究力向上につなげていく構想であることが紹介されました。
筑波研究学園都市には大学、国立研究開発法人等が集積する他地域にはない強みがあり、本事業を通じてそうしたポテンシャルを最大限発揮することが期待されているとの説明がありました。また、筑波研究学園都市における研究機関間の連携や相互補完を促進する契機になることを期待しているとの考えが示されました。
また、筑波研究学園都市の研究環境や研究基盤の整備については、国光あやの衆議院議員、上月良祐参議院議員を中心として立ち上げられた勉強会において提言が取りまとめられ、本年6月には当時の科学技術政策担当大臣であった小野田紀美大臣及び文部科学副大臣であった小林茂樹副大臣に対して要望が行われたことが紹介されました。こうした提言も踏まえながら、現在、内閣府を中心に様々な検討が進められていることが説明されました。また、施設の老朽化対策については、本日の議題3において議論いただく予定であることが共有されました。
あわせて研究交流センターについては、前回のつくば機関長等会議において来年度の会議室利用に関する仮予約を一旦停止していたところであるが、当面活用する方向で検討を進めていることから、来年度の会議室利用に関する仮予約を再開することが報告されました。
議題2 筑波研究学園都市における研究力向上に向けた主な取組について
筑波大学の大矢晃久執行役員(筑波共創推進担当)から、「つくば研究教育機構(仮称)構想」について説明がありました。同構想は、筑波研究学園都市全体の研究力強化と社会課題解決への貢献を目指し、筑波大学と研究機関との連携大学院を基盤として、研究・教育・共創機能を強化するものであり、現在24機関が参画し、年度内の共創体発足に向けた検討が進められていることが報告されました。また、文部科学省のEPOCH事業に採択された研究基盤強化の取組について説明があり、研究設備の共用化、高度専門人材の育成・循環、研究者支援機能の強化、産業界との連携促進を通じ、新たな知の創出と社会実装を進める考えが示されました。さらに、つくば駅前で整備を進める国際共創拠点「ITF.F(Imagine The Future Forum)」について紹介があり、国内外の大学、研究機関、企業、スタートアップ等が集うオープンイノベーション拠点として整備を進めることが報告されました。
これを受け、永田会長から補足説明があり、つくば研究教育機構(仮称)は各機関の独立性を維持しながら研究・教育連携を強化する枠組みであり、将来的には研究者や大学院生のさらなる拡大を目指していることが説明されました。また、研究設備共用については、TIAにおける既存の取組を発展させるものであり、ITF.Fについても世界各国の研究・産業拠点との連携を通じたオープンイノベーションの中核施設として期待している旨の発言がありました。
続いて、国立環境研究所の大島義人理事長から、新研究本館整備事業を中心とした施設整備の取組について説明がありました。設立から50年近くが経過した施設が多く、老朽化対策が喫緊の課題となっていることから、「つくば本構キャンパスマスタープラン」に基づき、低炭素化、共創性の向上、生態系との調和を重視した施設整備を進めていることが紹介されました。また、2026年度から2029年度にかけて新研究本館を整備し、研究者間の交流促進や新たな研究創出につながる研究環境の構築を目指していることが報告されました。
防災科学技術研究所の進藤和澄理事からは、火山調査研究推進本部と連携して進める火山噴出物分析センター整備事業について説明がありました。同センターは、火山噴火時の迅速な分析や評価を担う中核拠点として整備されるものであり、令和7年度補正予算により事業化され、2028年度中の運用開始を目指して準備を進めていることが報告されました。また、防災科研においても施設の老朽化が課題となっているが、まずは同センターの整備を着実に進めた上で、今後の施設更新について検討していく考えが示されました。
議題3 老朽化施設の戦略的な整備・更新に向けて
内閣府科学技術・イノベーション推進事務局の錦参事官から、筑波研究学園都市における研究基盤・施設の老朽化への対応について説明が行われました。研究学園都市の形成期に整備された研究施設や設備の多くが更新時期を迎えていることが示されるとともに、今後は個別機関ごとの対応だけではなく、研究学園都市全体として効率的かつ戦略的な整備・更新を検討していく必要性について問題提起が行われました。また、ワーキンググループにおいて検討いただきたい事項として、研究施設・事務施設の共用化・集約化等の可能性の整理、各法人のミッション遂行に不可欠な固有施設の整理、施設配置の最適化の3点が提示され、各機関において具体的な検討を進めていくことが求められました。
続いて事務局から、これまでのワーキンググループでの検討内容、各機関から寄せられた意見や課題認識について説明がありました。各機関に対する事前の意見照会では、受変電設備など研究活動を支える基幹インフラの更新、研究データや試料保管施設の維持、大型研究設備の更新・維持管理など、多くの機関に共通する課題が指摘されていることが紹介されました。
その後の意見交換では、土木研究所の藤田光一理事長から、老朽化対策については長期的・抜本的な対応の検討とあわせて、研究活動を継続するための短期的な対応も必要であるとの意見が示されました。施設更新には相応の期間を要することから、中長期的な将来像を描く議論と並行して、当面必要となる対策についても検討していく必要があるとの考えが述べられました。
つくば市の五十嵐立青市長からは、つくば市においても公共施設やインフラの老朽化対策が大きな課題となっていることが紹介されました。市の試算では、今後40年間の更新費用として約9,900億円が見込まれていたものの、その後の建設費や人件費の上昇等を踏まえると、現在ではさらに大きな財政負担が想定される状況にあるとの説明がありました。また、人口増加に伴う学校整備も進めており、近年整備した小中学校では1校当たり約60億円の整備費を要するなど、厳しい状況の中で対応していることが紹介されました。こうした状況を踏まえ、つくば市では施設の集約化や複合利用を進めており、学校施設についても体育館やホールなどの機能を地域と共有するなど、効率的な活用に取り組んでいることが説明されました。その上で、筑波研究学園都市においても、研究施設や設備の老朽化に対応するためには、各機関が個別に対応するだけでなく、施設や設備の共有化・集約化を含めた大胆な議論が必要ではないかとの意見が示されました。また、こうした検討には研究機関間の調整や全体最適の視点が不可欠であり、ワーキンググループや事務局のみで担うには限界があるのではないかとの問題提起がありました。さらに、国において筑波研究学園都市全体のアセットマネジメントや将来ビジョンを検討し、施設の更新・集約化や機能配置の最適化を視野に入れた長期的な方向性について、専門的な知見も活用しながら議論を進めるべきではないかとの意見が示されました。
これに対して内閣府工藤審議官からは、まず現場の研究機関が共通して抱える課題や最低限必要と考える対応について整理していただきたいとの考えが示されました。その上で、各機関からの意見や要望を踏まえながら、今後の検討につなげていきたいとの説明がありました。
物質・材料研究機構(NIMS)の宝野和博理事長からは、老朽化対策を検討する際には、単に既存施設を更新するという発想ではなく、研究機関全体としての機能の最適化や面積効率の向上をあわせて検討することが重要であるとの発言がありました。また、受変電設備など研究活動を支える基幹インフラの更新は喫緊の課題である一方、大型計算資源については各研究機関が個別に保有するのではなく、スパコン等の共用化や集約化の可能性も検討すべきではないかとの意見が示されました。さらに、外国人研究者向け宿舎である二の宮ハウスの老朽化についても言及があり、国際的な研究人材の確保や受入れ環境の観点から重要な課題であるとの指摘がありました。あわせて、今後の施設整備に当たっては、研究機関単位ではなく、研究学園都市全体としての機能や配置の最適化を見据えた議論が必要であるとの考えが示されました。
永田会長からは、研究学園都市の形成期に整備された施設が一斉に更新時期を迎えているという共通課題を踏まえ、各機関や関係府省が連携しながら、研究学園都市全体の将来像を見据えた議論を進めていく必要があるとの考えが示されました。


アンケート結果の報告
最後に事務局から、「筑波研究学園都市の研究・生活環境の未来をつくるアンケート」の結果について報告がありました。アンケートには625件の回答が寄せられ、研究環境や生活環境に関する評価、研究連携や交流に関する課題、つくば駅周辺再開発や研究交流センターに関する認知状況などについて結果が共有されました。研究環境については比較的高い評価が得られた一方で、施設・設備の老朽化や研究環境を支える基盤整備に関する課題も指摘されました。また、研究連携や交流の重要性について多くの回答者が認識していることが確認される一方、交流機会や情報共有の不足などが課題として挙げられました。
今後について
今回の会議では、研究施設・設備の老朽化への対応が筑波研究学園都市全体に共通する重要課題であることが改めて共有されるとともに、施設・設備の更新に当たっては、研究学園都市全体としての機能や配置の最適化を視野に入れた検討が必要であるとの認識が共有されました。今後は、つくば機関長等会議ワーキンググループにおいて、引き続き課題整理を進めるとともに、研究基盤機能の維持・強化や研究学園都市全体として必要な対応について、関係府省庁と連携しながら検討を進めていくこととなりました。
懇親会の様子

